ロマネスク 第四話

 

 

 
夢のなかでリボーンは2歳位だった。
というか、2歳だ。
リボーンは、これが夢なのだどわかった。
なぜならこれは間違いなく自分の過去であり、なおかつその幼い自分を客観的に見ているからだ。
綱吉とは10歳差なので、この綱吉は12歳なのだろうが、今よりも少し背が小さいだけで、あまり変わってないので少し笑えた。
 
夢の中の幼いリボーンは、本を持って綱吉の所に行くところだった。そう言えばリボーンは、綱吉に本を読んでもらうのが好きでよく読んでもらった。
本当は綱吉があまり自分から話をしないので、彼の声が沢山聞きたかっただけだったのだが。
そのため、本は何でもよく、顔も合わせない両親が買ってきてくれる本を読んでもらっていた。
黒っぽい表紙で、挿絵は一つもなかった。表紙にはお姫様が棘の椅子にすわっている本だった。
初めて自分で自分の名前を書いたのも、この本だった。
綱吉が書き方を教えてくれたのだ。
 
リボーンは懐かしくて、どうにかなりそうだった。
このころから、自分は綱吉が大好きだったのだ。
 
夢の中の本にも同じように名前が書いてある。
そして夢の中のリボーンが綱吉にその本を渡した。
 
彼は本を渡すと少し困った顔で笑って、そして本を開く。
夢の中の俺は面白そうにニコニコしながら聞いていた。
俺を膝に乗せて、「えーっと」とか「うー」とか言いながら綱吉は一生懸命本を読んでいた。
 
詳しく覚えていないが、いつ聴いても新鮮な話で、何度聞いても驚くところがあった。
そしていつでも話の最後には、お姫様も王子様も、何時までも楽しく暮らすのだ。
 
夢の中の綱吉は話終わると、リボーンの顔を覗き込み、面白かったですか?と聞く。
リボーンが素直に頷くと、綱吉も花が咲くように笑った。
リボーンは、その顔がとても好きだった。