ロマネスク 第三話

 

 
パーティーが終わったあと、リボーンは綱吉を部屋に呼んだ。
ノックの後、静かに綱吉が入ってくる。
 
「失礼します」
 
疲れてネクタイを緩め、シャツのボタンを二つ外しているリボーンとは対照に、まだ綱吉はきっちりとスーツを着ていた。
リボーンは、ベッドに寝転んだまま、綱吉にコロネロとの事を尋ねた。
 
「コロネロ様ですか?彼は古い友人の弟にあたりますが、まさかリボーン様のご友人とは存じておりませんでした。」
 
綱吉は、友人を思い返すと、やわらかな笑みを浮かべ、
リボーンは、自分の知らない綱吉の友人に嫉妬した。
 
「仲が良いのか?」
 
「コロネロ様ですか?彼とは、一、二度お話しただけですが、とても良い方でした。」
 
「…そうか、もう下がっていい。」
 
リボーンは顔を上げずに綱吉を下がらせた。
 
カチャリ と小さな音をたてて扉が閉まると、リボーンは大きく溜め息をついた。
間違いなく、リボーンは嫉妬しているのだ。
コロネロに、そして顔も知らない綱吉の友人に。
 
自分には敬語で話す彼が、コロネロに対してはまるで親しげだった。
そもそも、彼がくだけた口調で話すのを自分は初めて聞いた。
 
自分の知らない綱吉が、確かに存在しているのだ。
 
リボーンはシーツを被ると今までの考えを頭から追い出し、ギュっと目をつぶると、夢に落ちて行った。