7.7

 

 

朝起きると、綱吉のベッドの脇に何も書かれていない短冊が一枚置いてあった。

「そうか、今日は七夕か・・・」

 

その短冊をてにとって、ツナは今年の願いを考えた。

 

 

ボンゴレでは毎年関係者を集めて七夕大会が行われる。

まぁ、隠し芸大会のようなもので、ファミリー関係者なら参加自由だ。

 

その優勝者は、商品として短冊に書いた願いが何でもかなえられる。

綱吉はボスという立場から審査員としての参加だが、毎年竹の一番上に短冊を結んだ。

 

願い事が決まったのか、綱吉はさらさらと願い事を書いていく。

筆が用意してあったので、久々に日本語を書いた。

 

綱吉が庭に出ると、もうすっかり七夕の準備は出来ていた。

毎年竹は、リボーンがわざわざ中国の奥地で一番でかいのを選んでくるので、今年もスケールがとんでもない。

今年は今までで一番でかいんじゃないだろうかと思うほど出かかった。

 

早速短冊をつけようと近づくと、すでにたくさんの短冊がつるされている。

ほとんどイタリア語だが、ところどころ日本語が混ざっている。

守護者のように、綱吉と一緒に日本から来た者もそうだが、綱吉が日本人だからか最近ボンゴレでは日本語を練習している者も多い。

少し崩れた字だが、綱吉はとても微笑ましい気持ちになった。

 

「沢田!」

 

いきなり声をかけられてびくりとする。

振り返ってそこにいたのは笹川了平だった。

「あ、了平さん。了平さんも短冊を吊るしに来たんですか?」

「違うぞ沢田!俺はもう朝一番につるしておいたからな!みんなの短冊に『極限!!』とかきたしていたのだ!!

「あぁ、そうですか・・・そう言えば毎年やってますよね。」

「そうだ!おまえのにも書いてやろう!」

「え゛?!や、いいですよ!」

「遠慮するな!貸してみろ!」

というと、了平は綱吉の持っている短冊を取り上げた。

「え?ちょ、わー!!見ないで!!!」

「なになに?『コロネロが会いに来てくれますように』・・・?」

「か、返して下さいッ!!」

綱吉は、思わず顔を赤くしてどなる

おぉ、すまなかった!!よし、じゃぁ詫びの印にその願いは極限俺がかなえてやろう!!!

へ?」

「師匠の隠し芸が見たいのだろう?師匠は今日は暇だと言っていたからな!今から呼んでくるぞ!じゃぁな!沢田!!!」

「ちょ、了平さん?!!

そういって、了平は走り去って行ってしまった。

「ど、どうしよう・・・」

綱吉は、とりあえず、今日の分の仕事を終わらせるべく、部屋に戻った。

 

* * * * * *

 

 

『師匠ーーーー!!!!!!!七夕大会に参加してくれーーーーー!!!!』

「電話が繋がった途端叫ぶなコラーー!!!耳がいてえ!」

コロネロは、今日久々のオフだった。

というのも、今日7月7日は七夕であるとともに、コロネロの誕生日だからである。

部下たちの「隊長!今年こそはボンゴレに祝ってもらってきてください!!」という言う言葉とともに、何故か休みになってしまった。

隠しているつもりであっても、コロネロの綱吉へ思いは部下に筒抜けであった。

そして、意外なことに、了平にも筒抜けであったのだ・・・!

『そんなことは極限どうでもいい!!師匠!沢田が師匠に極限会いたがっているぞ!!!!』

「・・・は?・・・な///?!ど、どういう意味だコラ!!?

『師匠・・・師匠が沢田の事が好きなのは、極限周知の事実・・・』

「な?!何でだ?!!」

『パオパオ老子が極限言いふらしたからだ。で、知らないのは沢田本人くらい・・・』

「リーボーーーーーン!殺す!!!!」

『そんな、沢田の今年の願いは極限師匠に会いたいと書いてあった!!!』

「ほ、ほんとかコラ///?!」

『だから、極限会ってやってくれ!!!』

「わ、わかったぜコラ!!」

そう言って電話を切ると、コロネロは口笛を吹いてファルコをよんだ。

 

* * * * * *

 

綱吉は一段落した書類の山をみて、溜息をついた。もちろん考えるのは今日の朝のことだ。

『はぁ、了平さん・・・呼んでくるとか言ってたけどホントに連れてきちゃうのかなー・・・? ど・・どうしよう・・・ホントに暇なのかなぁ??

・・・でも、昔コロネロに「七夕なんて、甘っちょろいものできるか!」って言われたし・・来ないよね・・・・。』

「って、あれ?俺声に出してた??」

口に出した覚えのない言葉が不意に部屋に響いて思わず周りを見回すと、黒い瞳と視線がかちあった。

「~~リボーン!!!勝手に心を読むな!!!!!」

「いいじゃねえか、減るもんでもないし」

いつものようにニヒルにわらうリボーンをみると、綱吉は反論をあきらめた。

この元家庭教師に敵うわけがないのだ。

「はぁ、もういいよ。で、何か用なわけ?」

「今日は七夕だからな。」

「あぁ、お前こういう行事大ッ好きだモンな」

そういうと、リボーンはニッとまたニヒルに笑った。

「で、おまえ、まだコロネロの事好きなのか?」

「・・・・へ?」

突然のことに、綱吉は言葉を無くすが、次の瞬間顔を真っ赤にした。

「なんで知ってるんだよ・・・」

「質問に質問で返すなこのダメツナが。まぁ、その顔をみたら一目瞭然だがな」

「うぅ・・」

リボーンにそう言われれば、綱吉は返す言葉がない。

天才家庭教師に対する刷り込みもあるが、何より全て本当だからだ。

降参して話す事にする。

「そうだよ。好きだよ・・・でも、コロネロは俺の事なんて好きじゃないさ。さっきも言ったけど行事を理由に会いたいって言っても来てくれないし、会いに行っても仕事が忙しいって会ってくれないんだよ?」

綱吉はさみしそうな笑顔を作るが、心が読めるリボーンには泣いているようにしか見えなかった

「チッ(あのヘタレめ!!)」

「え?!舌打ち?!」

「・・・はぁ・・・・・・・。いい事を教えてやる。七夕にあいつが来ないのは、誕生日だからだ。」

「え?!・・・誕生日?!?!七夕が?!コロネロの???!!」

綱吉は混乱する。

「どうせあいつは誕生日に、お前が誰かと楽しく話してるところが見たくなくて来ないんだ。」

「そうならそうと言ってくれればいいのに!おれ・・・!」

「あのヘタレがそんな事自分から言えるか?」

「だからって・・!俺、行ってくる!」

綱吉はそう叫ぶと、部屋を出て行った。

「あぁ、行ってこい・・」

そうつぶやいて、リボーンはコーヒーをすすった。

 

 

 

と、次の瞬間

「オイツナ!!!!!会いに来てやったぜ!!」

扉が蹴破られた。

「こんの、馬鹿!ヘタレ!タイミング悪過ぎなんだよ!超KY男 !!!!!」

「な///?!なんでてめぇが居やがるんだコラ!!!」

「それは俺のセリフだ!てめぇ・・・俺がどんな気持ちでツナを見送ったと思ってるんだ!このヘタレ!あーくそっ!

もーお前にツナはやらん!!!」

リボーンの怒りはある意味もっとのなものであろうが、状況をしらないコロネロには意味が分からない

「どういう意味だコラ!ツナはどこに行ったんだ!」

全く状況の分かっていないコロネロにリボーンは怒りを通り越してあきれた。

「・・・・・・・はぁ、マフィアランドだ」

「マフィアランド?!・・・なんで今からそんなとこ行くんだコラ?七夕大会はどうした?」

「~~お前が誕生日だから会いに行ったんだよ!さっさと追いかけやがれ!!!」

リボーンの言葉を聞いて、コロネロは一瞬でドアの前まで移動するが、ドアを開けて振り返る。

「・・・なんで、ツナに俺の誕生日なんて教えたんだ?どうせお前がいったんだろ?」

突然真剣な顔をしたコロネロにリボーンも真面目に答えてやる。

「チッ・・あいつが泣くからだよ・・・。ンなことはいいから、さっさとダメツナを追いかけやがれ!」

「・・恩にきるぜコラ!」

そういうと、今度こそコロネロは綱吉を追いかけた。

「次泣かせたら、殺してやる・・」

でていった影を見送って、リボーンは冷めたコーヒーをすすった。

 

 

* * * * * *

 

 

太陽が地平線に半分かくれて、海を赤く照らしている。

きっと、今日は天の川が見れるだろうな。と綱吉は砂浜にすわって雲ひとつない空を眺めた。

「はぁ・・・コロネロどこに行ったんだろ・・・」

綱吉は自家用ジェットをとばしてマフィアランドへ来た。

しかし、肝心のコロネロは今日は出かけていて、今日は帰ってこないと言っていたらしい。

自分の無計画さに呆れつつも、きれいな夕焼けに見惚れていた。

七夕大会がもうすぐ開かれる時間だ。

きっとボンゴレは、大いに盛り上がっているだろう・・・

と、そこで綱吉はポケットの中を漁った。

「朝、結局つるせなかったんだっけ・・・」

そこいは、半分に折られた短冊が入っていた。

「つるせなかったなら、叶うわけないよな・・・」

そうつぶやいて、破こうとした瞬間、誰かの手が短冊を奪った。

「じゃぁ今から吊るせばいい」

びっくりして綱吉が振り返ると、小さな笹をもったコロネロが立っていた。

「な、なんで?今日はもう戻ってこないんじゃなかったの?」

「七夕だからな。ツナの願いを叶えに来たんだコラ」

そう言って、綱吉から奪った短冊を持ってきた笹の一番上に結んだ。

「ありがとう・・・あのさ、コロネロ」

「何だコラ?」

「コロネロも短冊書いてよ。」

綱吉がコロネロにそう言うと、コロネロは照れ臭そうに持っていた笹を渡した。

そこにはツナが書いたものともう一つ、『好きだコラ!』と書いたものが下がっていた。

思わず、綱吉がコロネロの顔を見ると、真っ赤になっていて、綱吉もつられて頬を染めた。

「お、俺もだよ!」

綱吉がそういうと、コロネロはくすぐったそうに笑って綱吉を抱きしめた。

 

しばらくして、綱吉がなにか思いついたように顔をあげる。

「コロネロ、短冊まだ持ってる?」

「あぁ、あるぜ?」

コロネロはは名残惜しそうに綱吉から離れると、ポケットから何も書いてない短冊を取り出した。

綱吉はうけとって、文字を書き始めた。

『コロネロと、ずっと一緒にいられますように』

えへへと、照れくさそうにわらって、綱吉が笹に結びつぶと、

「そんなもん、書かなくても楽勝だコラ!」

と、また抱きしめられた。

しっかりと綱吉も抱きしめ返して

「あとね、コロネロ・・・。」

「ん?」

「誕生日おめでとう」

「おう」

きょうの目的をしっかり果たした。

 

辺りはもう暗くなっていて、コロネロの腕の中から見えた空には天の川が流れていた。

 

 

 

 

あとがき

コロが別人だ・・・!ゲロ甘!!

もっと、ギャグになる予定だったのに・・・?!

とにかく、コロネロお誕生日おめでとー!!!

あと、これもフリーとなってますので、もし貰ってやるぜコラ!!!!

ってかたがいらっしゃったらどうぞお持ち帰り下さいw

 

2008//7   ちよ