今日も勉強に身が入らなかったな…
と、黒崎一護は道端にあった石をけった。
「はぁ。」
黒崎一護つまり俺は悩んでいる。
何をって、そりゃぁ…
…10代の思春期にありがちな恋のお悩みです…。
実は3日前、俺は恋次に連れられてソールソサエティに行ったとき
運命の出会いというものを体験してしまったのだ…!
相手は、檜佐木修兵さん。
名前の通り、もちろん男…
でも、それも関係ないくらいキレイな人だった。
何をしてても、あの人の瞳を思い出して、
気づけば好きだと呟いてしまうほどだ。
『気持ちを伝えよう…!』
そう決心したはいいが
そこからが問題だった。
死神代行と言っても俺は人間で、あの人は死神…。
年も違うし、こんなガキに告白されるなんて、迷惑じゃないだろうか…
そんな悩みばかりが頭をぐるぐるしている。
どうしたらいいんだろう?
「あれ?黒崎さんじゃないですか!」
すると、悩んでいる俺の頭に能天気な声が響いた。
「浦原さん!」
いい所に良い相談相手がいるじゃないか!
おもわず俺は浦原さんに駆け寄った。
* * * * *
「浦原さん!!」
おそらく学校帰りの黒崎さんがあたしの名前を呼びながらこっちへ走ってくる。
可愛いなぁ。
と、ついつい邪な妄想にニヤケる口元を扇子で隠した。
なんでも今日は相談があったようで、道端じゃなんだからと店へとご招待。
部屋に入ると、黒崎さんは言いにくそうに話し始めた。
頬を染めて見つめてくる眼が誘ってるみたいっすよ!
「あの、さ…急にこんな事を聞くの変かもしれないけど…」
はいはい、なんでも聞いて下さいな!
「浦原さんから見たら、俺なんて…ただのガキ?」
・・・へ?
いやいや、えーっと?
それは…
「…どういう意味です…か?」
「…やっぱり、死神として生きてるあんたらから見たら
十数年しか生きてない俺なんて、相手にもならないのかなって…」
…つまりそれは…!
あれっすか?!
あたしの思いが伝わったんですね!?
黒崎さんも、あたしの事が好きだったなんて…!
今まで気づかなくってごめんなさい!!!
「そんなことないですよ!」
おもわず、身を乗り出してしまったが、これは仕方ないっす!
「年齢とか、死神と人間とか関係ないです!! 愛してたらそれが全てっすよ!!」
そうっす!年の差なんて関係ナッシング☆
「運命の人…が、たまたまそうだっただけ?」
「そうっす!」
あたしと黒崎さんの間には障害なんてありません!
「じゃぁ…もし、告白とかしても…迷惑じゃないかなぁ…?」
「全然大丈夫っすよ!」
むしろ、ドンと☆来い!!
「…ありがとう浦原さん!」
「はい!」
「じゃぁ俺、行ってくる!」
「…ハイ?」
・・・・・・・・・・・あれ?
「おれ、死神の修兵さんと付き合う事になった!!
浦原さんのおかげで告白する勇気が出たんだ!ありがとう!!」
数時間後戻ってきた黒崎さんはそう言って、満面の笑みでこっちに笑いかけてきた。
何故かあたしには霞んで見えませんけど。
眼でも悪くなったかなー?
いやいや、
涙じゃないっすよこれ?
え?下唇噛んでるって?
さっき食べた山芋のせいで痒いンすよ。
やー困った困った…
「おれ、修兵さんの事が好きすぎて、どうしたら良いか分からなかくて…
でも、浦原さんの言葉のおかげで、告白する勇気が出たんだ…!ありがどう!!!」
そういう黒崎さんの笑顔は、いままで見たこと無いくらい輝いていて…。
…うん。
やっぱり泣いていいっすか?
2008/6/16 ちよ