ロマネスク 第六話

 

 
リボーンの誕生日と、襲名祝いのパーティーがあった夜、綱吉はうなされていた。
5年前、リボーンの両親が死んだときから毎年この日に見る夢であった。
 
夜中に目が覚めて、綱吉は水を少し飲むと、ベッドにもどり、本を開いた。
リボーンに小さい頃に読んであげた本だ。
とても悲しい話で、初めて読んであげたときに泣きそうな顔をしたものだから、次に読んであげるときには、少し話を変えて読んだ。
その時とてもよく笑ってくれたので、それから本を読むときは話を変えてよんでいた。できるだけ毎回同じ話をしようと頑張ったのだが、さすがに全く同じ話はできず、ところどころ話が変わっていった。
きっともう少し大きくなって聞かせていたら、そのことに気づいたかもしれない。
本の裏には不格好な字でREBORNとかいてある。
 
その字を指でなぞると、涙がでそうだった。
 
少し、本をよむと、自分が話していためちゃくちゃな話が思い出されて少し笑った。
それでも、読み進めようとしていると、疲れのせいか、睡魔が襲う。とうとうもう一度夢の中に落ちて行ったが、今度はうなされることはなかった。
 
 
 
目覚ましの音で目をさますと、本が枕の横に置いてあった。
少し不思議に思いつつ、邪魔だったので無意識のうちに動かしたのだろうということにした。
それよりも、今日からはリボーンがこの家の正式な主人である。
今までは昼間の間ザンザスに任せていた仕事もすべてリボーンにまわるのだ。
 
大丈夫だろうか。
いや、あの優秀な主人は何でもそつ無くこなしてしまうので、自分なんかが心配することではない。
大丈夫ではないのは自分かもしれない。
 
綱吉は無理やり笑った笑みを作り、窓の外を見た。
太陽が上がろうとしている。
 
綱吉は起き上がると気合を入れるように自分の頬をパチリと叩いた。
そして何時ものスーツに着替え、ネクタイをキュッと締めた。
 
そろそろリボーン様を起しに行かなければ。
 
綱吉は時計を確認するとリボーンの部屋へ向かった。
彼は、あの日から綱吉がおこしに来なければ決して部屋から出てこないのだ。