あなた

 

どれだけ追いかけたかはわからない。ただひたすら追いかけた。あの人の背中―――。俺
 
にとってあの人がすべてだったんだ。そう、あの時から―――。
 
 
あなた
 
 
「もう泣くんじゃねぇぞ。」
 
あの人は俺にそう優しく言った。まだ餓鬼だった俺は追いかけてくる虚も倒すことができ
 
なくて、ただただ泣いているばかりで…死んでしまうかと思った。本当に。でも俺はそう
 
簡単に死ねない運命らしくて…こういうの危機一髪ていうのかな・・・転んで逃げ遅れたと
 
ころをあの人が助けてくれたんだ。
 
「修兵…強そうな名前じゃねぇか!」
 
そう言って俺に強さをくれたんだ。餓鬼の頃の俺にはあの人の背中がとても大きく見えた。
 
あの人の下につけたら…、あの人と一緒にどこまでも行けたらきっと…きっと…怖くない。
 
そう思った。あの人が大好きで大好きで誰よりも尊敬していた。…それは本当に恋のよう
 
だった。あの人のためなら何でもできる、そう思っていたのに…。
 
 
どうしてなの…?
 
 
必死で勉強して真央霊術院に入った。…どうやら俺には死運みたいなのがあるらしく再び
 
虚に殺されそうになった。今度ばかりはやばいって思った。でも死ななかった。また、助
 
けられたから…あなたにじゃなくて・・・後輩たちに。この顔に負った傷は俺を残して死んで
 
いったあいつらの想いを忘れないため。そして置いて行かれた俺へ、自分自身への戒め。
 
そう思った。そうであっても構わない。そう思った。あなたに会えるのならば・・・。
 
 
でも…でも…どうして俺を置いて、去って行ってしまったの?
 
 
あなたに置いておかれた俺はまた一人、信じていた人に置いて行かれてしまったよ…。で
 
きることなら連れて行って欲しかった。あなたとなら、例えどんなところでも幸せだった
 
?
 
俺は誰を信じたらいいんですか?
 
 
ねぇ、教えてください…拳西さん…。
 
 
 
 
あとがきという名の反省。
いやっ!もう無理!!この二人以外考えられない!!と言いますか、このサイトでパロ以外の鰤小説かいたのこれが初って…!!(笑)でもいいんです。こんな時にあんな展開出してくる神が悪いんですから…!  あ…いや、悪くはないです。もうじゃんじゃん出してくださいませ☆(笑)